2015年度活動報告
私たちは昨年、神美知宏さん、谺雄二さんの過酷な生涯であっても俊厳に生き抜いて来られた轍のあとを見つめながらも、目の前にある課題と向き合うために再び前を向いて歩き出しました。
その決意の表れが「バトンをつなごう~当事者運動と市民のかかわり」という課題を選んだ昨年の交流集会でした。その課題に取り組んだシンポジウムは、パネリストの方たちの語る1つ1つの言葉が内容の深いそして熱気に溢れ感動を与えるものとなりました。
私たちハンセン病市民学会に集う一人ひとりの参加者は、この交流集会から2015年度を出発したのでした。市民の立場で、どうしたら当事者運動からバトンを引き受けることができるのか、東京の交流集会で呼びかけたその思いをさらに一歩深めたいと考え、本日このあとの全体集会では、「全療協のたたかい~当事者運動から学ぶ」というシンポジウムをもつことに致しました。ハンセン病市民学会が発足してから12回目の交流集会で初めて全療協運動を取り上げるということは、遅きに失したというあと知恵の思いをもちますが、今を置いてはいない、もうこの人を置いてはいないという大竹章さんにお引き受け頂いております。
ハンセン病の被害当事者が長い歴史の中で困難な闘いを切り開いてきた血と汗と涙が染みこんだバトンの重みをしっかりと受けとめることからしか、繋ぐという責任への自覚は生まれてきません。是非、ご拝聴下さい。
以下、交流集会で始まったこの1年間の活動を2点に絞ってご報告させて頂きます。
1.東京集会のシンポジウムの舞台上で、パネリストのお一人から厚労省に対して「人権擁護委員会の設置を要望する決議」をしようと会場の参加者に向けて提案が出され、提案は満場の拍手で認められました。交流集会終了後の今年度の最初の取り組みとして、要望書は、早速、6月11日に森和男共同代表、訓覇浩共同代表、小林洋二弁護士と事務局長の私の4人で厚労省の担当課長に届けました。
要望書は遅くなりましたが、3月皆様のお手元にお届けしたハンセン病市民学会ニュース20号に全文を掲載しております。
入所者の砦となってきた自治会が入所者の高齢化と人数の減少に伴って次第に力を弱めていくことは避けられません。人権擁護委員会は第三者が
委員会に参画することによって自治会の活動をサポートし、かついずれはその役割を担うことが考えられるものですから、バトンを繋ぐ具体的な事例の一つと言っていいものです。
すでに全療協も最優先の組織課題として取り組まれていますが、すべての療養所に人権擁護委員会を設置されることが急がれます。ハンセン病市民学会が交流集会の場で、人権擁護委員会の必要性を初めて訴えてから4年、その理解は広がっていますがまだ十分とは言えません。今後とも引き続き、粘り強く取り組んで参ります。
2.市民学会は2014年度から、託された課題に取り組むため、組織の活性化と日常活動の強化を図る具体的な方策を検討してきました。組織委員会の中の事務局長の諮問機関である拡大事務局会議で何度も議論を重ね「たたき台を作り、今年も組織委員が2度集まり、その「たたき台」を検討しおおよその合意ができあがりつつあります。
この1年以上をかけて深めてきた成果は、次の活動方針としてお伝えできるものは
お伝えをして、皆様と理解を共有させて頂けたらと思います。
最後に、上記で紹介した拡大事務局会議を含めれば数度の合宿を重ねて論じ合ってきた議論を振り返ってみれば、ハンセン病市民学会を次世代の皆さんにバトンを繋ぐための大事な議論だったように思います。
ハンセン病市民学会を愛し、交流集会の場で何度も発言を重ねられて市民学会に大きな期待を寄せて来られた神さん、谺さんの遺志を大切にし、市民学会を育てていくことは私たちの大いなる責任であると存じます。
2016年5月14日
事務所
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