2017年度活動方針

ハンセン病市民学会2017年度活動方針

2017年度の活動方針について申し上げます。

基本姿勢として、家族裁判提訴をうけ、隔離政策の被害が、入所者、退所者、家族それぞれに固有のものであることを強く意識し、その回復に資するため取り組みを行ってまいりたいと思います。

それでは、その要点について申し述べます。

 

1 「プロジェクトチーム」(PT)による検証・提言・フォローアップ活動

 市民学会は、発足以来、活動の柱として「検証」「提言」「交流」を掲げてきましたが、その検証・提言活動の中核として、また、ハンセン病問題の全面解決に向けてなされる様々な取り組みをフォローアップすることも視野に入れた活動を実動させてまいりたいと思います。

 課題としては、活動報告で述べた7課題を踏襲し、組織委員会メンバー、事務局員がいずれかのプロジェクトに所属し、日常的に意見交換を行い、それぞれの課題に対する検証・提言・フォローアップを行ってまいりたいと思います。

 また、あらたな事業として、「ハンセン病問題全面解決に向けた研究集会」を開催したいと思います。本年度は準備年度として位置づけ、組織委員会メンバー、各部会の中心メンバー、事務局員などを参加対象とし、7課題を中心に、参加者による課題共有、意見交換を行い、結果をニュースレターやHPなどで公表してまいりたいと思います。

 なお、PT、研究集会ともに、来年度以降、広く会員の皆さまに参加していただける方途についても検討し、参加を実現させてまいりたいと思います。

 

2 交流集会の開催

次に、次回の交流集会でありますが、現在、沖縄で開催すべく、準備を進めております。地元の市民運動にかかわる方々には、大変なご苦労をおかけすることになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

今回の瀬戸内三園同様、沖縄と一口で言っても、二園のおかれている状況の違いのみならず、退所者をめぐる状況、家族をめぐる状況、市民感情の違いなど、地域によって課題は個別かつ具体的です。また、国内外の情勢のなかで沖縄が現在置かれている状況も視野に入れた沖縄での開催にならなければならないと思います。そのようなことを思う時、現在、単年度で開催するには無理が生じるという一定の結論にいたっております。

一つの地域での交流集会を、二年度にまたがって行うことはこれまでにないことでありますが、大会規模のコンパクト化ということも課題の一つになっており、開催の枠組みなどは今後の検討課題となりますが、現時点において沖縄大会を、来年、再来年にまたがって開催するということを提案させていただきたいと思います。その中で、療養所のない石垣での集会開催は強く意識してまいりたいと思っております。

 

3「神美知宏・谺雄二人権賞」について

 続いて、「神美知宏・谺雄二人権賞」についてでありますが、研究部門、活動部門と

もに、次の世代にハンセン病問題に対する取り組みの担い手が引き継がれていくことを

願い、基金の勧募を行い、市民学会本体とは経理をわけ、独立した形での運営を行い、

本賞の安定した運営を図ってまいりたいと思います。

 また、市民学会以外の媒体にもはたらきかけ、周知に努めてまいります。

 

4 家族裁判訴訟、特別法廷問題、国際連帯に向けた取り組み

 ①家族裁判支援

   家族裁判支援については、支援の決議採択を本総会において行うことを提案いた

します。また、原告団、弁護団と話し合いを行い、支援のネットワークつくりの

中心を市民学会が担ってまいりたいと思います。

 ②特別法廷問題 

昨年最高裁は、特別法廷問題についての調査報告を行い、不平等な取り扱いであったことを認めたうえで、差別や偏見を助長したとして謝罪しましたが、その内容は、極めて不十分であり、菊池事件の再審に向けての展望を開くことにはつながりませんでした。そこで、この門題を検証プロジェクトの中心課題に位置付け、最高裁の調査報告内容を検証するとともに、近日中に提訴が予定されている、菊池事件の国賠訴訟の弁護団と協同して、シンポジウムなどを計画したいと思います。

 ③国際連帯への取り組み 

  6月22日には、ソロクト・楽生院訴訟の全面解決を記念して、日韓両弁護団と共同してシンポを共催することになっています。こうした活動を通して、アジアにおける、ハンセン病問題についての、連帯の輪を深める活動に取り組んでいきたいと思います。

 

5 事務局としての取り組みについて

 ①情報発信の充実

年報、ニュースレター、メールニュース、ホームページ、ソーシャルネットワークサービスなどによる、情報発信の充実にさらに力を入れてまいりたいと思います。

 ②事務局直轄の取り組み

  ハンセン病問題をめぐる諸課題に対する、事務局マターの取り組みとして、昨年度

は、大阪人権博物館との共催で企画展を開催しましたが、今年度は、各療養所にお

いて語り部がいなくなる現状なども鑑み、現在どのような形で、見学者、研修者の受け入れがなされているかなど、ひとつのフォーマットを作成し、自治会、施設に対する聞き取りを行い、状況を把握し、啓発活動における市民との連携などに資していきたいと思います。

 ③財政の立て直し

  市民学会の財政状況は、極めて厳しい状況にあります。新会員の増加、未収の年会

費の払い込みのお願い、カンパのお願いなどのほか、さらなる経費削減に向けた見直しを行ってまいりたいと思います。

 ④事務局体制の充実

  今回も、人事案件として事務局員の増員をお諮りしますが、事務局員一人ひとりの

負担が過度にならないよう、できるだけ多くの方に関わっていただける事務局体制を目指してまいりたいと思います。

 

 

以上、2017年度の市民学会の活動方針とさせていただきます。